2010年2月18日木曜日

明日をどこまで計算できるか?



バタフライ効果は有名です。東京で蝶が羽ばたくと、ニューヨークでハリケーンを引き起こすとか。これは誤解を招きやすい表現で、実際にはそんなことはない。これがいっているのは、カオスとは、初期条件がほんのわずかでも異なると未来は全く異なったものとなりうるという性質のこと。カオスが大気循環のモデルで発見され、運動のパターンが蝶に似ていたので、こうした紛らわしい表現になっているのでしょう。天気予報が難しい理由にバタフライ効果やカオスを挙げるのは間違っている。観測データには限界があるからカオスによりその誤差が急速に大きくなるからではない。その効果もあるかも知れないが別の原因もあると。

この本は、天候、病気、経済(社会)における予測に関するものです。物理学は、天体の運動を記述し、未来予想が可能であることを示しました。それは人類(ニュートン)の偉大な勝利だったのですが、では他の分野でも予想はできるのでしょうか?それに対する答えは「出来ない」。なぜなら、こうしたシステムは正と負のフィードバックが入りこんだ複雑な系であって、簡単な数式で時間変化を表現すること(モデル化)は出来ないから。これが計算規約性と呼ばれる性質。もし、未来を知りたいならその未来まで待つしかないのだと。例えば、ライフゲームも時間変化のルールは単純だけれど、そのパターンの変化をモデル化はできず、どういう時間変化を行うのかはそのルールで動かすしかない。

非常に参考になりました。

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