2009年6月15日月曜日

本「経済物理学の発見」

高安先生の経済物理の入門書。彼の講演は、平易かつ明快なのですが、そのよさが本書でも生かされています。

為替の変動は95%が正規分布で残りの5%の大変動の部分で為替変動のほとんどの部分が記述できることをグラフで示したり。また、金融工学では、その小さな95%の部分で派生商品のプライシングを行うこと。そのほか、新たなバスケット通貨の方法、税制の提言、経済物理の研究手法の解説など。

私もここ5年ほど、連鎖倒産とか競馬とか、経済物理っぽいことを研究しているのですが、経済物理って面白いのでしょうか。なんか微妙なものを感じてしまします。ようするに物理学としての夢、哲学に欠けているような。経済を理解するのは経済学であるべきで、物理と名乗るなら物理になんらかの新たな知見をもたらすものであってほしい。フラクタルの概念は経済物理の成果だとするなら、それは新しいし、大きな貢献ではあるのですが、それも50年近く前のことだし。

以上、自戒の念もこめた感想です。

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