2008年9月1日月曜日

本「合議の知を求めて」


投票システムのことを研究していたので、参考にと読んでみました。投票といっても、私がやっているのは競馬での投票ですが。

内容は、「3人寄れば文殊の知恵」に代表される、複数の人が集まって話し合いを行うと、一人ひとりで考えたのよりよいアイデアが浮かぶのか、といったことを扱っています。つまり、合議により「創発」が起きるのか?

結論は、多くの実験ではそのようなことは起きない。優秀な独裁者がひとりで決めたほうがいい。特に、人々の正解率が低い場合は、合議は完全に誤った結論を出しやすい。ただ、合議というものに人々は納得感「民主的だ」があるので、たとえ優秀であっても、独裁者には任せない。しかし、合議のプロセスには、結論を恣意的に操作する可能性があるので、うまくやれば自分の思うように、かつ、みなの同意を得ながら決定することも出来る。

それ以外にも「アロウの定理」など、いろいろ興味ぶかい本でした。選択肢三つ以上で全体の同意する順序がつけられなくなる(二つなら多数決でOK)というのは、統計力学の問題としても面白いかも知れません。順序の齟齬をエネルギーとして、各自の思う順序からの齟齬の和を最小にする問題です。各自の順序がランダムなら、スピングラスっぽくなりそう。

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